書籍情報#
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 書籍名 | TAKE NOTES!――メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる |
| 著者 | ズンク・アーレンス |
| 翻訳 | 二木 夢子 |
| 発行年 | 2021/10/14 |
| 出版社 | 日経BP |
| 参考リンク | 出版社ページ |
購入の経緯#
質の高い勉強メモを作成するために、いわゆる「メモ術」を学ぼうと思い、この本に出会いました。各チャプターごとに内容をスクラップメモとして整理しながら学習していきます。
はじめに#
『Take Notes!』では、日常的に「質の高いメモ」を蓄積することで、誰もが効率良く、かつ高品質なアウトプットを継続的に生み出せると説かれています。何もないところから考えを生み出すのは容易ではありませんが、日々積み重ねたメモは新たな発想や深い思考の支えとなります。こうした成果を安定して生み出すためには、偶発的な意志力だけに依存せず、システムやルールとしてメモ術を整えることが効果的です。本書は、知的生産を助ける「賢いメモ」を日常的に書き溜めていくことの価値を提案しています。
章別要点まとめ#
第1章: 「メモのとり方」を知れば、大作が自然に書ける#
第1章では「メモの有効性」と「ツェッテルカステン(Zettelkasten)」の考え方が紹介されている。
文章執筆にはいくつかのハードルがある:
- 計画通りに筆が進まずモチベーションを失ってしまう
- 情報収集に力を入れすぎて理想が高くなりすぎる
- 「自分には能力が足りないのでは」と感じるインポスター症候群に陥る
こうした課題を乗り越え、質の高いアウトプットにつなげる解決策として提案されているのが**「日常的にメモを取る」**という習慣である。
その具体的な実践法として、社会学者ニクラス・ルーマンが実践した「ツェッテルカステン」が紹介される。この方法では、小さな単位のメモを作り、それらを相互にリンクさせていく。そのつながりが新たな文脈や洞察を生み、結果として効率的かつ創造的にアイデアを発展させることができる。
第2章: メモをとればとるほど、財産になる#
第2章では、「メモを蓄積して運用する方法」が解説されている。 自分の言葉で書き直しながらメモを作成することで、思考を整理でき、知識やアイデアをより深く理解できるようになる。
ツェッテルカステンにおけるメモの処理フロー:
- 走り書きメモ・文献メモ: 日常で浮かんだアイデアや考えを一時的に記録する。読書や記事から得た情報を要約して残す。
- 永久保存メモの作成: これらを基に、自分の言葉で再構成した「永久保存メモ」を作成する。これは一つひとつが独立した知識単位となり、今後も再利用できる。
- メモの関連づけ: 永久保存メモを、既存のメモと関連づける。番号やリンクを用いて結びつけ、ネットワークとしての知識体系を育てる。
- アウトプットへの展開: メモが十分に育った段階で、アウトプット(文章や研究など)につなげていく。
このようにしてメモを日常的に運用していけば、単なる情報の収集にとどまらず、体系的な知識の基盤を築くことができる。
第3章・第4章: 必要なのはシンプルに「ペン」と「紙」/「メモ」はあなたオリジナルの「思考」を生む魔法のツール#
- ツェッテルカステンに必要なのはペンと紙。ツールはシンプルで問題ない
- メモは貯めるだけでは不十分で活用するためのルールやシステムが必要
第5章: メモをとれば、書くことではなく、思考に集中できる#
アウトプット前提のインプットが重要。アウトプット前提でインプットすることを意識すれば、情報に対する姿勢が変わる。
第6章: メモをとるときは、つながりを意識する#
メモは単に貯めただけでは知識として機能しない。全体を振り返って関係性を探り、メモ同士の関連や優先度を整理することで、質の高い洞察へと至る。こうした整理の過程そのものが、理解を促進する重要なステップとなる。
第7章: メモをとれば、オリジナルのテーマと資料が自然に揃う#
メモを書いて、自分のアイデアを貯めていけば、自然と自分の興味を持つテーマが決まる。
第8章: メモをがあれば、大作も書ける#
- フィードバックや批評はアイデアをレベルアップさせるために必要
- フィードバックなしでは特定の主張に偏る可能性が高くなる
第10章: 読書メモは、自分の言葉で書こう#
- 文献や書籍を読んだ内容は「自分の言葉」に言い換えて書き留める
- 自分の言葉で言い換えができなければ、理解不足と判断できる
まとめと今後の行動#
本書のテーマは「ツェッテルカステン」というシステムに基づいてメモを蓄積すれば、質の高いアウトプットが可能になる、というものです。
内容を一言でまとめるなら、「メモに関する自己啓発書」です。ツェッテルカステンをはじめ、メモ術に関する知識やエピソードが紹介されており、モチベーションを高めたり、考え方の指針を得るには役立ちます。ただし、同じ趣旨の説明が繰り返される印象もあり、体系的にメモ術を学びたい人には少し物足りないかもしれません。
また、具体的なハウツーが詳細に整理されているわけではないので、「操作マニュアルとして読む」よりも、「メモの意義や可能性を再確認し、刺激を受けるために読む」ことに向いていると感じました。
今後の行動:
- 日常的なメモ取りの習慣を確立する
- メモ間のつながりを意識した整理方法を実践する
- アウトプット前提でのインプットを心がける
- 自分の言葉での言い換えを徹底する